1 ![]() 「歌舞伎十八番」は耳に馴染みのある言葉ですが、 前述のとおり、「歌舞伎十八番」とは、実は歌舞伎の中でも市川團十郎の得意演目として制定された 18演目のこと。代々の市川團十郎がどれだけ歌舞伎の中でもポピュラーであるかが伺えます。 歌舞伎の芸は世襲制であると先に述べましたが、ゆえに、家ごとに得意演目のカラーが明確にあります。 この家ごとの名前を「屋号」と呼びます。よく歌舞伎で「○○屋!」と掛け声が飛びますが、 この掛け声は、その家を応援する掛け声なのです。 江戸時代、武士以外は苗字を持つことができませんでした。 当然、歌舞伎俳優も苗字をもちませんでしたので、その「家」をあらわすためにニックネームのようにして 用いられたのがこの「屋号」です。 屋号のルーツはさまざまですが、市川海老蔵やご尊父の市川團十郎の家では、 「成田不動尊」を信仰していることから「成田屋」という屋号となりました。 ちなみに中村勘三郎の「中村屋」は昔あった芝居小屋「中村座」の座元をしていたことから、 また、尾上菊五郎の「音羽屋」は初代尾上菊五郎の父親が音羽屋半七という名前だったから、と さまざまなルーツを持っています。 「成田不動尊」を信仰する「成田屋」が演じる「雷神不動北山櫻」は、 代々大事に守り磨いてきた「荒事」の芸がギュッと凝縮され魅力がぎっしり詰まった作品であるとともに、 演じる市川海老蔵にとっても成田屋にとっても、とびっきりに特別な舞台なのです。 ▲
by narukami_2009
| 2009-08-28 10:08
| 豆知識
![]() インタビューでの海老蔵丈のことばです。 さて、それではこの「荒事」「歌舞伎十八番」とはいったいどういう意味でしょう? 音楽の中に「ハードロック」や「ジャズ」などのジャンルがあるように、 ひとことで「歌舞伎」といえども、作品の内容や生まれ親しまれている場所によって、 歌舞伎も作品のジャンルを分類することができるのです。 生まれと内容によって性質を大きく分けたとき、つまり「江戸」で生まれたものか、 「上方(京都・大阪)」で生まれたものか、これがひとつの分類の手立てになります。 「荒事」とは、江戸を発祥とし、超人的な力を持つヒーローが勧善懲悪で活躍したりするなど、 荒々しくダイナミックな演出が特徴です。 逆に、上方(京都・大阪)では対照的に、恋愛もの・心中ものなど、しっとりとしたストーリー仕立てと なっているものが多く生まれており「和事」といわれます。 ジャンルの分け方には他にも「時代物」「石橋物」など、題材で分類したりルーツで分類したり、 その場に応じてさまざまな分け方がありますが、ここでは「荒事」に注目して掘り下げてみたいと思います。 荒々しくダイナミックな演出が特徴の「荒事」は昔から代々、市川團十郎の家の代名詞といってもいいほど 縁が深いジャンルです。それは何故か? 歌舞伎の「芸」というのは、オーディションなどで主役を決めてその芝居を練るのではなく、 家の中で大切に、子から孫へと世襲し受け継がれていきます。 その中でも代々の当たり芸(ヒットした演目)については「家の芸」として定め、 その家の大事な演目として芸を磨いてきたのでした。 市川團十郎は前述の「荒事」を代々得意としており、 七世市川團十郎が「家の芸」として定めた18種を「歌舞伎十八番」というようになりました。 「歌舞伎十八番」につきましては、次の機会に。 今後ともご愛読のほど、どうぞよろしくお願いいたします。 ▲
by narukami_2009
| 2009-08-21 18:24
| 豆知識
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