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11.通し狂言『雷神不動北山櫻』の起源と「歌舞伎十八番」


「荒事」を得意とした市川團十郎家が制定した「歌舞伎十八番」とは具体的にどういった演目なのでしょうか。

現代にも意訳され日常的に「十八番」といわれるように、
歌舞伎十八番には、メジャーでポピュラーな演目が多く、舞台だけではなく写真やイラストなどで
見たことがある作品が多くあります。

歌舞伎十八番は次の18演目。
「不破」「鳴神」「暫」「不動」「嫐(うわなり)」「象引」「勧進帳」「助六」「押戻」
「外郎売」「矢の根」「関羽」「景清」「七つ面」「毛抜」「解脱」「蛇柳」「鎌髭」

1742年に二代目市川團十郎丈が初演した『雷神不動北山櫻』はその名の通り、
この歌舞伎十八番の中でも人気の高い「鳴神」「不動」「毛抜」を通し狂言としてリミックスして
練り上げられた作品です。
つまり、『雷神不動北山櫻』には歌舞伎十八番の魅力が凝縮され、いっぱいに詰まっているというわけです。
当然、当時の江戸・上方両方で、この『雷神不動北山櫻』は大当たりを博し、
現代までさまざまなアレンジと磨きで研ぎ澄まされつづける、成田屋の特別な演目となりました。

今回の上演にあたり、市川海老蔵丈は、自ら企画を練り、さらにこの作品に磨きをかけました。
その柱が、「五役を勤める」ということです。
それぞれの意味を持つ5つの役を一人が演じることにより、物語の面白みや深みが増すものとなりました。
この挑戦は、先代の誰もがやらなかった、初の試みです。
今をときめく歌舞伎俳優・市川海老蔵が自ら企画・上演を手掛けた『雷神不動北山櫻』
今世紀必見の作品と成るでしょう。

どのような登場人物を演じるか、その五役のご紹介については、また後日に。

本日もご愛読いただき、誠にありがとうございました。
by narukami_2009 | 2009-08-29 14:50 | 見どころ


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